背景
鋼橋の腐食は部分的に生じることが多く、特に伸縮装置からの漏水による腐食は顕著です。腐食により断面欠損が生じた場合、従来の鋼板を用いた補修では、施工機材や専門技術者が必要なため補修費が割高となります。そこで,NEXCO総研では、簡易に施工可能なFRPによる鋼桁の補修技術について研究を進めてきました。

鋼板を用いた腐食部の補修事例
FRP接着工法の概要と特徴
鋼部材にFRPを直接接着すると、鋼板の座屈変形に追従できずにFRPが剥離してしまいます。この対策として、本工法では、弾性係数が低く伸び性能の高いゴム状のパテ材を挿入します(下図-⑤)。これによりFRPの剥離を防止でき、鋼部材の応力度改善に加えて終局強度の改善が期待できます。

FRP接着工法の概要図(鋼桁端部の例)
補修効果の検証実験
本工法の開発にあたり,各種実験により補修効果を検証しました。
ここではその一部を紹介します。


アピールポイント
- 軽量な炭素繊維シートを使用するので,補修後も重量がほとんど増加しません。
- 使用する炭素繊維シートは,弾性係数が鋼材の約3倍の高弾性型としているため,炭素繊維シートの枚数を少なく抑える
ことができ,効率的な補修が可能です。
- 大掛かりな施工機械は不要で,特殊技能を必要としない人力作業が中心の工法です。このため,小規模な補修工事でも
ほとんど割高になりません。
- 様々な鋼部材に適用することが可能です。