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NEXCO総研

地域性苗木
 

 地域性苗木は、地域に自然分布している郷土種のうち、特に高速道路事業地周辺地域内に生育する樹木の個体から種子を採取し、苗木に育成して郷土(高速道路の造成地等)に帰すことにより、移入種による遺伝子の攪乱を防ぎ、高速道路周辺地域の生物多様性の保全を図るものとして開発・実用化されました。高速道路事業で造成されたのり面に植樹しやすいように開発された切土のり面を主としたユニット苗、及び盛土のり面を主としたポット苗は、緑化技術センター(滋賀県湖南市)において生産されます。
地域性苗木については、「生物の多様性に関する条約」の締結・発効(1993(平成5)年)の頃から、遺伝子レベルで樹種の保存ができる道路緑化方法として研究を始め、1996(平成8)年に中央自動車道(東京都八王子市内)で試験的に、初めてユニット苗が植樹されました。現在では、種子採取に関するマニュアルの整備や種子の発芽促進方法の確立等、種子採取・苗木育成・植栽に至る一連のシステムが構築されています。
地域性苗木の開発は、道路の緑化技術として先進的な取り組みであり、持続可能なシステムの実用化が国家戦略に沿った生物多様性環境の創出に貢献したと評価され、平成21年度土木学会環境賞を受賞しました。また、生物多様性に配慮した緑化を実現したと評価され、2010日経環境技術賞を受賞しました。

 
ユニット苗
 
ポット苗
これまで約80万本が高速道路に植えられました
 

 1996(平成8)年に初めて地域性苗木が植樹されて以来、これまで※1に出荷・植樹された地域性苗木は約80万本になります。植樹された本数を面積に換算※2すると、テニスコートで約12000面、サッカーフィールドで約400面に相当します。また、地域性苗木として出荷された樹種は204種、植樹された路線は新東名・新名神高速道路など11路線になります。
地域性苗木は、これを育てるための種子を地域の方々と一緒に採取すれば、共に地域の自然の恵みを学べる機会となり、また、これを地域の方々と一緒に植樹すれば、共に地域の風土への愛着を養う機会となります。
このように地域性苗木は、高速道路敷地の緑化を樹木で行うことで温室効果ガスの削減を図るだけでなく、生物多様性の保全を図りながら、環境学習にも活用されるものです。


植樹事例 施工直後

施工10年後

地域の方々と郷土の種子を採取

地域の方々と地域性苗木を植樹

  ※1 平成23年3月末日現在
  ※2 1本当たり4㎡必要とした場合(2500本/ha)