1987(昭和62)年に第4次全国総合開発計画で10000kmの高規格幹線道路網の早期整備が閣議決定され、1993(平成5)年に生物多様性条約が発効された頃には、より一層の急速、かつ、生物多様性の保全が求められるようになりました。 そして、建設現場周辺の植物の種子等から栽培した苗木によるのり面樹林化技術を開発する必要が出てきました。 それまでの切土のり面の自然環境回復技術としては、 ①自生種等のポット苗を用いて切土のり面を掘削して植える工法(植穴方式) ②同様にポット苗を用いて切土植栽基盤材を吹き付けるのり面上に苗を設置し、植栽基盤材を吹き付ける工法(置苗方式) ③自生種の木本の種子を吹き付ける工法 がありました。しかしこれらの工法は、のり面を掘削するためのり面の安定の問題、植栽基盤を吹き付ける施工性の問題、発芽率の低さなど経済性・効率性の問題がありました。
従来の緑化工法概要
このような従来工法の課題、のり面の安定・安全性の点から、のり面を掘削しないで施工できるように、苗木を地表面に張り付ける方法が検討されました。そして、生物多様性保全の観点から、事前に建設現場周辺から採集した種子等を発芽・発根させたもので苗を育成する方法が検討されました。これにより、自生種の種子等を発芽、育成させ、良好な植栽基盤で根を十分に張らせた苗の株(ユニット)を、そのまま現地に張りつける、地域性苗木のユニット苗工法が開発されました。
ユニット苗
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